「島食い」は読者へのプレゼント

リトルガーデンの東の海に生息する巨大金魚、島食い。嘘から出た実(まこと)ともいえる彼(仮)について見ていきたいと思います。

島食いが登場したのは、リトルガーデン編の最後。島から出航するメリー号の前に突如出現しました。

ドリー&ブロギーの体験談からは、島食いがどこか別の海にもいたことがうかがえます。もしかしたら、巨大金魚という種が存在し、世界中のあちこちに生息してる可能性もあります。しかし普通に解釈すると、島食いは彼一匹で、よそからやってきて、現在地に落ち着いたとするのが妥当でしょう。

船ごと丸飲みされてしまった一味ですが、直前の巨人達との約束がありましたので、どんな形になるかは想像できなくても、彼らが助けてくれるのは確実であり、安心してページをめくることができました。そしてその通り、島食いは巨人二人に豪快に倒されてしまいます。一味をとんでもなく大ピンチの状況におとしいれたキャラであるのに、あっけなく最期を迎えることになるのは、ちょっと気の毒でもありますね。ラブーンと扱われ方が違いすぎです。

ドリー&ブロギーにとって、島食いは一目置く存在ではあったようですが、決してずっと手をこまねいて放置していたわけではなく、彼ら愛用の武器を失ってまで、倒す必要性を感じなかっただけのことのようです。

ですから、島食いにとっては、一味の来訪は災い以外の何物でもありませんでしたね。大して腹を満たすわけでもないのに、一味をエサ扱いしてしまったのが、運の尽きでした。海に浮かぶものには反射的に襲いかかってしまっていたのかもしれませんが‥(そこはツッコむべきところではないですね)。

巨大金魚のエピソードといえば、ウソップがカヤに聞かせていた冒険譚で語られていましたね。巨人二人の会話の中で、それとそっくりの話が出てきて、当のウソップ本人も「ん?」となるシーンは、熟読している読者への、時を隔ててのプレゼントといったところでしょう。出番は一瞬でも、ワンピースの面白さの一つを教えてくれる島食いは、物語に立派に貢献していますね。

戦わないキャラ、「ドミノ」が愛おしい

大監獄インペルダウンの副看守長を務めるドミノ。どちらかといえば地味な存在ながら、しっかり印象に残っている彼女について見ていきます。

彼女の初登場は、インペルダウン編開始早々の第526話。来訪したハンコック(&ルフィ)とモモンガを出迎えるシーンです。ハンニャバルからすぐに名前を紹介されますが、ワンピースお決まりの四角い二重枠の中で紹介される形はありません。大監獄の他の主要メンバーは、獄卒獣も含めてしっかり紹介されているのに、ちょっと気の毒な扱いですね。

彼女の活躍するシーンといえば、ハンコックのボディチェック時が思い浮かびます。というか、それ以外は大して見せ場はありません。何度か登場シーンはあるものの、マゼランに付き従い、彼と会話する場面ばかりなのです。

見た目はごく普通の一般女性で、サディちゃんとの対比が際立っています(扉絵での様子では、二人の仲は良いようですね)。サングラスで頑なに目を見せてはくれませんが、これは大監獄のユニフォームのようなものなので、彼女の個性的なファッションというよりは、むしろその個性を隠すアイテムです。ちなみにSBSによると、幼い頃は元気にサッカーボールで戯れる少女で、かわいい瞳も見せていますね。

どうしてここまで地味になってしまったのかといえば、何より直接戦闘に加わっていない(そういうシーンがない)からでしょう。カリファのように「実は強い」という可能性もなくはありませんが、ドミノについては本当に普通の人なんだと思います。そもそも大監獄の通常は、囚人達を掌握した状態であり、看守に戦闘能力は必須というわけではないと思われます。他の主要メンバーの方が異常なのだとすれば、か弱いながら業務を堅実にこなしていく彼女に、ある種の愛おしさすら感じてしまいます。

囚人達の脱獄に黒ひげ達の襲来と、ありえない出来事が重なり、ドミノもどこかで戦ったのでしょうか。力及ばず屈する彼女のシーンが描かれていないのは、本当に戦っていない可能性がありますが、彼女(と読者)への尾田先生の思いやりなのかもしれませんね。

2年後には抜けたシリュウの席に座り、看守長となったドミノ。少し威厳もついた感じはしますが、彼女はこの先も「戦わないキャラ」として頑張っていってほしい気もします。

カワイイ剣士「ハルタ」

白ひげ海賊団12番隊隊長のハルタ。一見どこかの国の王子のようにも見える彼について、少し見ていきたいと思います。

彼の初登場は頂上戦争が始まり、白ひげ海賊団の隊長達が出陣するシーン。隊長の中でも早く飛び出しているように見えます。血気盛んで戦いを欲しているというよりは(隣のラクヨウはそう見えます)、クールで華麗という感じです。先陣を切ることができるのは、身軽さもあってのことなのかもしれません。

彼の名前については、SBSで明かされたもので、本編ではまだその名は呼ばれていません。「春田」「春太」などの和名を連想してしまい、ギャップが面白いのですが、調べてみると、いろんな言語でいろんな意味の「ハルタ」があるようですね。果たして彼はどの「ハルタ」なのでしょう。

武器はカトラスでしょうか。剣士であるならば、力で押すというよりは、スピード(手数)で圧倒するような戦い方をしそうですね。戦場を駆け回っているようで、何コマかに姿を確認できますが、残念ながら具体的に実力を発揮している描写は見当たりません。

特に前半はあまり感情を顔に出さないコマが多めですが、白ひげやエースとの別れに涙を流すシーンもありますので、一貫してクールに振舞うというキャラでもないようです。セリフについては、的確に戦況を把握して口にしているものの、彼ならではという特徴的なものでもないため、印象に残りにくいです。

そんな彼ですが、出番が少ないこともあり、一部のファン以外には人気が出ているという感じではありません。武骨か美形のどちらかといえば、間違いなく美形の方に入るのですが、個性的なファッションや、舌を出すお茶目な感じが、あまり受け入れられていないのかもしれません。2年後に再登場して、少しでも印象的な活躍シーンがもらえれば、人気急上昇となる可能性もあると思います。期待したいですね。

「ステリー」の成長っぷりは世界会議で

東の海、ゴア王国の若き国王、ステリー。かつてはサボの義弟であった彼について見ていきたいと思います。

この記事を書いているのは、連載誌で世界会議(レヴェリー)編が始まったばかりのタイミング。第823話で、マリージョアへ向かう際の彼の後ろ姿が描かれており、世界会議での顔見世が濃厚です。そしてそこで、何らかの見せ場が描かれるのも、ほぼ間違いないでしょう。

ですので、ステリーの感想は少し後回しにしたい気もしますが、これも何かの巡り合わせ。会議での彼の言動を楽しむために、これまでの彼を再確認しておくのもよいかと思います。

ステリーが初登場したのは、ルフィ達三兄弟の過去話の中。サボが家出をしている間に、サボの家に養子としてやってきていました。サボの父親や家庭教師の話をまとめると、貴族の家の出で、将来が有望である優秀な子、天才。スペック高いですね。誇張されているかもしれませんが、少なくとも人並み以上の能力は持っていそうです。確かに、サボの会話シーンでは、8歳児とは思えぬセリフを口にしており、彼の優秀さ(ませたところ)が出ているようです。

また、ステリーには生みの親から育児放棄されたという過去があり、彼なりに辛い目に遭ってきたことで、幼い頃から世渡り上手として成長する道を歩んできたのかもしれません。

その才能を発揮したのか、弱冠二十歳にして、ゴア王国国王に即位した彼。感動必至、驚愕のドラマ(権謀術策を駆使したのか、それともサリー王妃のハートを射止めたのか)があったのかどうかはともかく、見事な出世です。嫌なキャラとはいえ、ただ後を継いで自動的に王となったわけではないのですから、そこは彼に一目置くべきなのかな、と思っています。

「嫌なキャラ」と書きましたが、過去話での彼は、嫌な大人達に育てられ、偏った考えを植え付けられたにすぎませんので、それだけで「悪」としてしまうのはさすがに気の毒です。成長して大人になった彼こそを、しっかり評価するべきでしょう。

ただ、ローグタウンのホテルでのやり取りを見る限りでは、サボの家で育てられたことで、予想通りの大人になってしまったようですね。この先の世界会議の中で、彼の人間性がより明らかになることでしょう。その時こそ、改めて彼を評価してみたいと思います。

名前も顔も怖い、「ドーベルマン」にある特別感

バスターコールで招集された海軍本部中将の一人、ドーベルマン。怖いイメージがどうしても先行してしまいがちな、彼について見ていきたいと思います。

彼の初登場は、上記の通り司法の島からのバスターコールで呼び出された際で、名前が明らかになったのは「イエロー」でだったと思います。

傷だらけの顔(左目は負傷で失明か)から歴戦の勇士と想像できますし、怖い犬(=番犬として優秀とも言えますね)の代表のような「ドーベルマン」の名が、さらに彼に箔をつけています。

そして、彼にはある種の特別感が存在します。服装が豪華な感じで、他の中将より格上に見えることもありますが、初登場のバスターコールの際と、頂上戦争での中将達見参のシーン、どちらも中央に位置しているのです。偶然というよりは、彼を推す意図を感じないではいられません。

では、戦闘能力はどうでしょうか。バスターコールでは、どの中将も直接戦闘に加わっているわけではなく、指揮する立場だったようですので、不明のままでした。頂上戦争の際は抜刀していますから、参戦しているのは確実でしょう。しかし、活躍シーンの見られる何人かとは異なり、彼はここでも指揮する姿ばかりでした。目立ったのはむしろ、海兵(&読者)に対しての、ルッチやルフィについての説明役としてです。

頂上戦争では、大将達が最前線で戦うのが当然のようになっていましたので、ドーベルマンのように指揮がメインの将校もありかと思います。もしかしたら、左目の視力を失った他、過去の戦いでのケガが元で、彼の戦闘能力はだいぶ衰えてしまっており、やむなく前方には出ていないのかもしれませんね。

2年後はまだ登場の機会がない彼。確実に任務遂行しようとする姿は、犬のドーベルマンとも重なります。赤犬の指揮する海軍本部に合っているようですので、これから出番は十分訪れそうですね。