「ギャロ」よ、よくぞ生き抜いた!

魚人海賊団マクロ一味のメンバー、デメキンの魚人のギャロ。ぱっと見、何を考えているのか掴みづらい彼について見ていきたいと思います。

ギャロが初登場したのは、はっちゃんの表紙連載中。ただしその際は、マクロ、タンスイと合わせて「マクロ一味」とか紹介されず、彼の名が明らかになるのは、本編(VS.トビウオライダーズ)での初登場時です。

ちょんまげを結っていたり、武器は日本刀であったりと、どこか「和」のテイストが見られるのは、金魚(の一種)の魚人だからでしょうか。ひょっとしたら、ワノ国にあこがれているかもしれませんね。

トレードマークの大きな目で表情は豊か‥と思いきや、目はいつも全開真ん丸で、眉毛もないため、かえって喜怒哀楽が伝わりにくいです。それが良い意味で、彼をどこか掴みどころのないキャラにしているとも言えるのでしょう。

出目金
出目金(デメキン)

ワンピースの世界では、魚人の強さは個人の能力だけでなく、モデルとなる魚(魚介類)の持つ特性も関係しているようです。(手足の数が多いなどの外見上の特徴はもちろん、サメ類モデルは強キャラが多いなど)。

出目金は中国で品種改良して生まれた観賞用の金魚であり、自然界で生きていくにはとても機能的とは言えません(タフなところはあるようですが)。そのモデルのギャロがここまで生き抜いてこれたのは、ある意味スゴイことなんじゃないでしょうか。

魚人島編での過去話にも、彼はしっかり登場しており、結成当時からのメンバーであることがわかります。コアラとの触れ合いの中では、笑ったり泣いたりして、いい奴っぽい描かれ方なのに、どうしてこうなってしまったのでしょう‥マクロ一味に戻ることで、卑怯者と罵られながらも生き抜く術を得た彼。と同時に、彼は辛い経験を重ねることで世を悲観し、感情を切り捨ててしまったのかもしれません。そうだとしたら、ちょっと切ないですね。

彼の出番は一通り終了したとも言えそうで、今後再登場する可能性も低いと思われますが、コアラとの涙の再会シーンはぜひ見てみたいですね。それをきっかけに、マクロ一味が更生してくれることも願いたいところです。

 

 

まるで恋愛!?「青キジ」はやきもきさせる

元海軍大将の青キジ(クザン)。頼もしくも読者を心から安心させてくれず、常に気になる存在であり続ける彼について、順を追って見ていきたいと思います。

初登場はロングリングロングランド編(水の都編の序章といってもいいかもしれません)で、初めて描かれる世界政府の「最高戦力」の一人として、一味の前に突如現れます。いきなりの大ピンチと思いきや、マイペースで一味と交流、トンジットの移住の手助けもし、何だかいい人っぽい‥と安心させてくれました。

ところが、そうはいかず急に本気モードとなり、一味を潰しにかかります。大将の名は伊達でなく、ロビンにルフィも凍らされ、一味はたった一人相手に、作中最大級の危機的状況になってしまいました。ここでは見逃してくれたものの、やっぱり恐ろしい「敵」なんだと認識させられます。

‥と思いきや、ロビンの過去話で登場した彼は、自分なりの正義で彼女を助けていました。司法の島での海軍の完敗を認め、水の都に現れた彼は、サウロの意志を受け継ぎ、ロビンの「生きたい」という願いを支持してくれます。やっぱりいい人だ‥今度は彼の真意もわかり、いずれは一味の味方になってくれるキャラなのだろう、と再び安心させてくれます。

しかし、そう単純にはいかないのが青キジ。頂上戦争では、全力で白ひげ海賊団、そしてルフィにも対峙してきました。自分の正義を持つ彼も、海軍の正義が前提にあり、海軍にいる限りは、彼が力を貸してくれるというのは甘い考えであるのだと思い知らされます。

そして2年後。なんと彼は海軍を去っていました。これでもう、彼が一味の前に立ちはだかることはない、とようやく大きく安心させてくれるはずだったのですが‥彼は、まだまだやきもきさせてくれます。何やら黒ひげ達と関係がありそうなのです。よりにもよってと思うのは、尾田先生の思うツボなのでしょうね。

スモーカーの危機を救った彼の、「おれはおれよ」という言葉からすれば、彼の正義はずっと変わっていないはず。この先、きっと読者を納得させてくれる動きを見せてくれることでしょう。敵となれば大きな脅威となり、味方になれば心強いことこの上なしの青キジ。一大戦力であるがゆえに、早々に立場をはっきりさせてしまわないよう、配慮されているような気がします。気になる恋愛相手のように、今しばらくは読者の心を揺り動かしてくれそうですね。

「カルガラ」は焦らしの名手

400年もの昔、シャンドラの魔物と恐れられた大戦士、カルガラ。空島編の過去話に登場し、読者の涙腺を刺激した男について見ていきます。

彼の名前が初めて登場したのは、第249話。戦鬼ワイパーの口から、「シャンドラの灯をともせ」というカルガラの言葉とともに、その存在を教えられます。その後、シャンディア達は自分達の故郷を取り戻すために戦っている、ということが明らかになり、ひとまずは空島のサバイバルは三つ巴の戦いなんだと納得できました。その時点で私は、カルガラの言葉は故郷奪還の象徴的な文言なのかな、と思うくらいでした。

ところが第276話になって、過去、現酋長がワイパーに、カルガラが戦うもう一つの理由を明かしていたことがわかります。麦わらの一味VS.神の軍団の戦いに、第三者的に関わっていたように感じられたシャンディア達の存在が、大きくなろうとしていました。

満を持して過去パートに移り、カルガラが登場したのが第286話。現在の空島の戦いはもうクライマックス直前だ、と誰もが察すことのできるタイミングででした。この「焦らし」は、最終楽章に向けて空島編がどんどん盛り上がっていく形に、大きな役割を果たしていると思います。

カルガラやノーランド達の過去話は、ルフィの仲間の過去を語るものではなく、ワンピースの中でもかなり特殊です。それにもかかわらず、8話にわたり描かれるという大ボリューム。物語全体の一部とはいえ、一つの別のお話のようなものに巻の3分の2ほどを使っているわけですから、本当に思い切った構成だと思います。ワンピースが十分に成熟した物語になったからこそ、できたことではないでしょうか。

話が少しそれてしまいましたが、その過去話の中でも、カルガラは焦らしてくれました。地面に挟まれもがくノーランドと本音をぶつけ合う(ムースが自分の娘だと告白するのも含む)、ノーランドと和解する、いずれもかなりギリギリのタイミングです。大戦士と呼ばれる彼にも不器用なところがあり、自分の思いをうまく相手に伝えるのは、あまり得意ではないのかもしれません。ワイパーも彼の血を引くだけあって、似たようなところがありますね。

登場自体で焦らし、登場してからも焦らしてくれたカルガラ。だからこそ、空島編のストーリーがより感動的になったといえるでしょう。娘との抱擁、ノーランドとの別れ、少年ワイパーと酋長とのやり取りなど、何度読んでもウルっと来てしまいます。誇り高き大戦士カルガラ、感動をありがとう!

「シュトロイゼン」はチャンスを掴み取りにいく

ビッグ・マム海賊団の総料理長である、「美食騎士」シュトロイゼン。万国(トットランド)の生みの親とも言える、非常に重要なキャラの一人である彼について見ていきます。

彼が初登場したのは、第858話のウェディングケーキ製作大詰めのシーン。ビッグ・マム海賊団のメンバーの中でも、結構後の方です。立派なヒゲを生やし、歳を重ねて威厳のありそうな見た目ながら、体型はどこか滑稽。歌を歌い、涙を流しながらケーキを作る(指示を与えている)様子と、スタッフから慕われているような描写から、人の好さが伝わってくる感じです。

いかにも戦闘要員ではなさそうですし、話の先が気になる身としては、重要なのはケーキの方で、ひどい言い方をすれば、作り手の方はどうでもいい、なんて思っていました。

ところがどっこい、ビッグ・マムの過去話で、彼に対するイメージはガラリと変わります。リンリンのあのシーンを見たうえで、それを面白がり、彼女に近づいていくなんて、常識的な人物では考えられない行為です。「海賊崩れ」ということで、一度は夢破れた過去があったと思われますが、野心は持ち続けていたようです。

戦闘には不向きでも、生きていくための能力として最高といえる「ククククの実」の能力があれば、堅実に人生を送ることは難しくありません。しかし、彼は海賊として再起するチャンスを目の前にし、それを自ら掴みにいったのです。今は歳を取って穏やかになっているかもしれませんが、少なくとも昔の彼は、落ちぶれても海賊らしい男だったといえるでしょう。

はっきりとした描写こそありませんが、トットランドを形成する様々なお菓子は、シュトロイゼンが能力を用いて変化させたものっぽいです(「わたあめ雪(甘み雲)」のように自然に存在するものもあるようですが)。「夢の国」には「ソルソルの実」の能力も欠かせませんが、住人達にとってはむしろ食うに困らないことが大きな魅力。国を大きくしていく過程で、彼が多大なる貢献をしたことは想像に難くありません。

もしかしたら、彼の能力はリンリンに食わせるためだけに使われた、という可能性もあります。それでもリンリンをそそのかし、四皇ビッグ・マムへと育て上げ、彼女とともにビッグ・マム海賊団とトットランドを築き上げたのですから、どちらにしても大活躍に違いはありません。海賊団の、そして国の父と言っていいでしょう。

お茶会で重傷を負うも、何とか回復は見込めそうなシュトロイゼン。まだしばらくは、料理に腕を振るうこともできそうですね。ただし、ワンピースの物語本編での彼の活躍は、ホールケーキアイランド(WCI)が再び舞台になることはないでしょうから、WCI編がピークと考えられます。話の中で、海賊団のメンバーとして船に乗り込み、戦いに身を置くことになるのか、それとも静かに余生を送ることになるのか‥興味深いところですね。

ハト派かもしれない「ガブル」隊長

新世界のとある島で活動していた革命家、ガブル。過去話なども含め本人の生きた姿は一切描かれていませんが、数少ない情報から得られる彼の感想を述べたいと思います。

彼の名前が出るのは、カリブーの表紙連載中。「革命の子」とも呼ばれ、維新軍と呼ばれる軍隊の隊長であったようです。顔は軍が掲げる旗や、祖母の持つ写真からわかるのですが、間違えられるのも当然というくらい、カリブーにそっくり(異なるのは前髪やヒゲの有無くらい)です。ついでに、名前も何となく似ていますね。

他に明らかになることといえば、ミートパイが大好きだということくらい。ガブル本人は話の最後まで登場することはなく、ラスト一ページで既に故人であったことが判明します。革命を成さんと戦いに生き、戦場で散っていったのでしょうか。維新軍の部下達が彼の生死を把握していなかったようなので、他の理由でひそかに亡くなっていたのかもしれませんね。

いかにもな強面をしており、職業は革命家となれば、かなり気性の激しい人物だったのかな、と勝手に想像してしまいますし、そうでなくてもカリブーのキャラが入ってきてしまうため、コワイ人なのかも‥と思うのは無理もありません。知られざる彼の内面を、身内の人からのルートでたどってみましょう。

彼の祖母が軍の連中を追い払ったのは、彼が既にいないことを知った後で考えれば、無関係のカリブーを巻き込まないように、という意図があったとも予想できます。しかし、演技をしたかどうかはともかく、本当の孫のつもりで軍から引き離そうとしていた可能性も残ります。もしかしたら、ガブルは戦いを好まない穏やかな人物で、無理矢理隊長にかつがれて、革命に参加していたのかもしれませんね。あくまで可能性があるというだけなのですが、できるだけ見た目に左右されてしまわないようにと、あえて逆張りをしてみました。

「維新軍」は革命軍と関係があるのか、という問いの答えは今のところ出ていませんが、おそらくあの島はカイドウの縄張り内であるため、革命軍が簡単には手出しできないところなのでは、と思います。となると、直接的なつながりはなさそうですね。ガブルの名前が再登場する可能性も低くなりますが、対カイドウというくくりでは、今後の物語と無関係ではありませんので、どこかに名前が出てこないか注目していきたいと思います。