「ルッチ」は物語の可能性を広げる男

水の都編~司法の島編のラスボス的存在として、ルフィ達の前に立ちはだかった男、ロブ・ルッチ。彼については、きっといろいろなところで語りつくされてきているでしょうから、ここでは少し視点を変えての感想ができればいいなと思います。

ルッチには、それまでのワンピースでのボスキャラとは異なる点がいくつかあります。ここでは三点ほど挙げてみましょう。

まず一つは、ボスキャラといえど、さらに上の存在がバックにあること。東の海でのボスキャラ達や、偉大なる航路に入ってからのクロコダイルにエネル。彼らはその時点での最強キャラといえる存在でしたので、彼らを倒すことで一つの島が救われ、ハッピーエンドとなるという流れとなりました。しかし、ルッチの場合は、物語の構成上ラスボス的存在となったものの、世界政府(海軍含む)という巨大な存在があるため、彼を倒しただけではすべて解決というわけにはいきませんでした。この点は、ホールケーキアイランド編のカタクリ&ビッグ・マム海賊団の関係も似たところがあります。

次に、どこか行き過ぎてゆがんだものであるとはいえ、正義を掲げている立場であること。また、それに加えて、どの敵キャラもそれぞれの野心を胸に、壁として立ちはだかっているわけですが、ルッチの場合、戦うことそのものを求めるという自身の欲求+世界政府の正義という二つが、彼を動かす原動力となっています。これも特殊な設定といえるでしょう。

そしてもう一つは、動物系(ゾオン)の悪魔の実の能力者であること。偉大なる航路に入ってからは、ボスキャラ=悪魔の実の能力者という公式が当たり前のようになり、さらに強敵のクロコダイルやエネルに加え、青キジが自然系(ロギア)だったため、バトルパートはいわば能力のインフレ状態になりつつあるところでした。そこに歯止めをかけたのがルッチです(フォクシーも一応功労者かな)。純粋な体術をメインに闘うシーンはとにかくカッコよかったですし、必ずしも強い能力だけが強さとは限らない、ということを教えてくれましたね。

彼を含めたCP9は麦わらの一味に完全敗北しました。それでも、彼らは再びはい上がってきます。表紙連載の物語の中で、自身の掲げる正義を思い出したのかもしれません。彼の変化を期待しながら、新たな立ち位置での本格的な活躍と、物語を広げてくれることを楽しみに待ちたいと思います。

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