裏のヒーロー「キュロス」と記憶

ドレスローザのコロシアムの英雄、キュロス。レベッカの父親であり、ドレスローザ編の主役の一人といえる彼について見ていきたいと思います。

彼の存在はドレスローザ編が始まって間もなく、コロシアムの像により示唆されました。しかし、後からわかることではありますが、実はその前話に「片足の兵隊」として登場していました。この一話という間隔、今にして思えば絶妙な間ですよね。同じ話で続けてしまうと、初見で正体がわかってしまうことはなくても、後から読んだ時にちょっと狙いすぎのように感じてしまいますし、かといって間を空けすぎると、つながりが薄れて面白みが減ってしまいます。

その後、オモチャが人間の変えられた姿であることがわかり、片足の兵隊がレベッカの父親であることが本人の口から明かされ、ついには片足の兵隊=キュロスということがレオの口から告げられます。すぐ後の過去話により、読者は彼の今に至るまでの人生を知ることができるわけですが、レベッカやヴィオラ、リク王ら、ひいてはドレスローザの全国民が彼を思い出すのはシュガーの能力が解ける時。父と娘が親子として再会するのはさらにその先です。二人の仇を討って、リク王家の治世を取り戻し、長年の夢であった幸せな二人での生活のスタートまで‥とても長い道のりでした。ドレスローザ編はまさにキュロスが失ったものを取り戻す物語なんですよね。

もちろん、オモチャにされた人の数だけ悲劇はあったわけですし、取り戻せた幸せはその何倍もあったはずです。読者はそのすべてを知ることはできない代わりに、代表者キュロスにスポットを当てたストーリーを十分堪能できたということでしょう。

キュロスとスカーレットの受けた仕打ち(二人の別れ)については、思い出すだけでもつらくなるだけなのですが、個人的には作中屈指のむごいものだと言い切れます。忘れられたいという男の願いが叶った結果は、あまりにも残酷なものでした。人と人とのつながりにおいて、記憶・思い出がどれほど重要なものであるかを思い知らされる、逆の意味での感動の名シーンです。もしレベッカがいなければ、キュロスもその絶望からは抜け出すことはできなかったのではないでしょうか。

もう一つ、キュロスについて述べておきたいことがあります。「ワンピース」の作中では、他人の命を奪うという描写は非常に少なく、実際は人をあやめていたとしても、あいまいな表現になっていることが多いです。そんな中で、キュロスはセリフとして(文字として)はっきりと人をあやめたと表現しており、極めて異例のことといえるでしょう。そして、それを汚れた過去として、改心したのちもずっと引きずって苦悩していくのも、麦わらの一味のメンバーにはできない(させられない)流れでしょう。これはキュロスというキャラクターだからこそ任された、特別任務のようなものかと思います。

最後に、どうでもいいことですが、「キュロス(kyurosu;ローマ字)」と「記憶(kioku)」が似た響きなのは、偶然?それとも意図しての設定なのでしょうか?

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